The 23rd JAPAN TENT
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6手術もできないし治療もできない。高峰譲吉は、その薬を何から、どう開発したかと言うと、牛の副腎からホルモンを抽出して、それを結晶化させる。それが止血剤になるという原理をもとに、高峰博士が研究に研究を重ねて、ようやくでき上がったのです。今までは捨ててしまっていた牛の内臓を利用し、画期的な薬の開発に結びつけたのです。 高峰博士はそれ以前にも、タカジアスターゼという胃の薬を開発した。飲み過ぎたり、食べ過ぎたりとアメリカの方も大変弱っていました。しかし、タカジアスターゼを飲むと胃がすっきりします。その一つでもノーベル賞ものであるのに、さらに止血剤も開発します。今なら完全にノーベル賞ものですが、当時、日本はアジアの小国ということで国際的にはそんなに評価されなかった。 高峰博士はアドレナリンという名前をつけます。アメリカでも1922年に高峰さんが亡くなるまで、アドレナリンという名前で止血剤が使われていました。しかし、高峰博士の死後、あるアメリカ人の化学者が羊の内臓から似たような薬、エピネフリンをつくり出し、これも止血剤であると発表します。私は専門家ではありませんから詳しいことはわかりませんが、化学式が全く違うので、実は羊の内臓からは止血剤は抽出されないそうです。しかし、高峰博士はすでに亡くなった後であり、止血剤はその影響からエピネフリンという名称で使われてきたのです。今もアメリカではアドレナリンはエピネフリンと呼ばれています。しかし、4、5年前から日本やヨーロッパでは、高峰博士が開発したとおりのアドレナリンと呼ばれ、今日に至っています。高峰博士が寄付した、ワシントン日米親善の桜 エピネフリンかアドレナリンかという論争は医学界の話ですが、いずれにせよ、高峰博士は今もって世界の三大医薬品と言われるうちの2つを開発しました。博士はその販売権をアメリカの大きな製薬会社に売り、化学者としても大変有名になりました。同時に実業家としても大変有名になって、大金持ちになった。これが高峰譲吉の一生です。 皆さんが、後ほどごらんになる映画の題名は「さくら、さくら」です。世界的化学者の一代記がなぜ「さくら、さくら」というタイトルなのか。これには事情があります。20世紀の初めころ、日本人の移民がアメリカに多く渡りました。アメリカ側からすると安い労働力を確保できたわけです。安価な労働力の確保ということは、アメリカの労働者にとっては職場がそれだけ奪われるということと同じ意味合いです。「日本はけしからん」という空気がアメリカ国内に充満します。 こうした状況を大変心配した高峰博士は、「日本とアメリカが険悪な関係になるのは好ましくない、何とかしなければならない」ということで、私財を投げうって桜の苗木をアメリカに贈りました。現在、ワシントンのポトマック川の河畔に咲く桜は世界的に有名ですが、その桜の苗木を寄付したのが高峰博士なのです。お国自慢が、ふるさと愛をはぐくむ 映画「さくら、さくら」は、タカジアスターゼやアドレナリンを開発する苦労話が中心であり、「桜」の部分の描写はあまりありません。そういうことから、その部分を描く続編映画の製作が決定しています。題名はずばり「TAKAMINE〜アメリカに桜を咲かせた男〜」で、北國新聞社も応援します。近々、石川県各地で映画のロケが行われることになっています。石川県出身の映画俳優も出演します。今年9月にはアメリカのロサンゼルスでロケを行うことも決定しています。そして来年4月に日本とアメリカで同時公開する予定です。 私が皆さんになぜ、映画の話を詳しくするのか。それは、今回のジャパンテントの総合テーマである「ふるさと愛」と関係があるからです。私が高峰譲吉を紹介するのは、この地がそうした世界的化学者を生んだという「お国自慢」をしたかったのです。 それぞれが「お国自慢」をするのは、「ふるさと愛」があるからです。「ふるさと」とは、自分の生まれ育った国、土地を指します。「ふるさと愛」という言葉の「愛」の部分の具体的な形の一つが、「お国自慢」だと考えています。私は皆さんにも同じ思いになってほしいし、そんな考えの持ち主もいるということを、ぜひご理解いただきたい。映画「さくら、さくら」には、そんな趣旨が込められていて、続編もそんな趣旨から製作されます。 「お国自慢をすることから、ふるさと愛がはぐくまれる」。私はそう考えています。

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